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2022年11月2日水曜日

2022年EPT全日本レースレポート

 


今回のEPTの全日本の結果としては

予選18位/決勝14位

という結果となりました.GPT全日本の時と違って実力を出し切れなかった感じで約10日経ちましたがまだモヤモヤしている状況です.


とはいえサポートしていただいているメーカー様や応援していただいた方に報いるためにも必死で頑張った成果でもあります.

この場を借りて心より感謝申し上げます.


さてレースレポートです.

車体についてはラジコンもんちぃさんの記事で少し出ていますがTF-Prototypeで参加していました.

これについては詳細に書ける日が来たらいろいろと紹介したいと思います.

今回は事前準備のパワーソースと予選決勝でのレポートを書いていきたいと思います.


事前練習

事前練習としては前の週の土日、レースウィークの木曜日、金曜日とサーキットに足を運んでいました.
前回の記事でもいろんなロータを試して鉄シャフトロータがいいのか?となっていましたが,やはり熱的に厳しくて序盤は良くてもどんどんタイムが落ちてしまっていました.

今回はもう時間切れでいろんな人にヒアリングしてみて結局φ12.5mmチタンロータに5.5付近のギア比に設定しました.

今まで効率だけを注目していましたが,結局目的は5分間を速く走ることです.耐久レースをしているわけではないので

エネルギマネジメントの観点でバッテリー残量含めたモータ出力,ドライバビリティも含めてトータルで考えないといけないことが身に染みてわかりました.


以前の記事の宿題として電流を吐いちゃうことを書いたところ
ZENの橋本さんからヒントを頂きました.磁力の高いロータのほうが電流を吐いちゃうよとのことでした.

ロータの磁束がステータに及ぼす逆起電圧の影響で電流を吐かないと回らないのかな?ぐらいの認識でしたが,それじゃあギア比だけで解決しそうなので違いますね

今までのデータを見返すと赤が鉄シャフトロータ/グレーがチタンシャフト
3行目のスロットル波形に注目

4行目の電流波形に注目

時間軸を合わせて見るとフルスロットル状態になると突然鉄シャフトのほうが電流が高くなります.パーシャルの時はあまり変わらないです.
フルスロットルに連動する設定としてはターボ進角が考えられます.
今のターボの設定はinstantになっていてフルスロットルにすると同時に25°程いきなり進角がかかる設定になっています.

鉄シャフトロータで最大トルク/最大効率制御での進角

上の図の20krpm抜粋
本来の進角制御は回転数,負荷,電流状態をフィードバックして最適進角を制御する必要があります.
ただパラメータ同定が必要になるのでラジコンでは回転数とターボはdeg/sの設定のみになっています.
smartloggerから回転数とトルク推定値から適切なターボ条件を出すと電流を抑えられるのかなと思います.

もっともこれに気付いたのは全日本が終わった後なのでその時は一足飛びでチタンシャフトを使っていました.


ちょっと余談

機械進角をどんどん大きくしていくと速くなると思い,大きくしていくと加速がカブッた感じになったという意見を全日本の期間中に聞きました.
症状的には負荷ポイントにもよりますが進角し過ぎていて脱調しているのかと思います.

ラジコンモータの場合磁石はNSひとつづつの2極なので機械角度との関係は
機械角=電気角x2/P  (Pは極数)
つまり機械角=電気角となります.なのでエンドベルの目盛りと電気進角の角度は等しく扱っても良いこととなります.

上の図の鉄シャフトの進角特性を見ても低回転域で15度進角するとなっています.
ESCの設定として極低回転から進角しないと思うのでこの辺りを機械進角で調整かと思います.
HobbyWingの場合30度から目盛りを切っていますが,原点がどこか分からないし感覚的に30度時を0度として考えると上記鉄シャフトは機械角45度スタートとなり普段の使い方に近いのかと思います.
進角の絶対値としてはマップの電気進角-機械角がESCのプログラムカードで入力すべき設定値かと思います.

ちなみにラジコンモータの骨格で最もトルクを出せるのは電気角90度進角しているタイミングです.
90度が山のピークとすると進角側も遅角側もトルクは減るということですね
進角側では回転方向と逆方向に磁界が生まれることにもなりそれが熱になってしまうしカブッた感じになるというのが理由だと思います.

余談終わり

チタンシャフトの効果


チタンシャフトに変えてからというものどんどん5分間の周回タイムを更新できました.
後半のラップで損をしていたようで
それまでなかなか18周5分10秒を切れなかったのが9秒や8秒が出てきました.

ロータ別の電流値
上記のようにターボ進角による電流もそうですが,ロータ磁束そのものの電流値も違うようです.
上の図の下の行,電流値を比較すると高回転域ではトルクはほぼ同等でチタンシャフトのほうが電流値が低くなっています.
ジュール熱による銅損が減り,結果モータが発熱しなくて後半までラップが落ちなくなったということでしょう

とはいえみんな5分5秒が出てるとか、速い人はフラットや1秒と言っていて
差は感じておりBメインも厳しいかなと思っていたのが予選前日金曜日の昼間の状況でした.

金曜日の午後はTF-Prototypeに対していろいろセッティングを施し,”手についてくる”フィーリングにはすることができました.ラジコン楽しいな~という感じでしたねw

この時点での持ちタイムは15時過ぎに出した18周5分7秒でした.


全日本当日

・練習走行
練習走行は10番手
タイヤは自分で買った新品タイヤです.特に攻めて走ったわけでもなく
前日にできた”手についてくる”フィーリングの確認と路面状況の確認でした.
あれ意外に戦える?というのが練習走行の感覚

・コントロールプラクティス
コンプラは16番手
3~5周目のタイムでそこそこのタイムが出たので10周ほどでアタックを終了しタイヤを温存しました.
ひとまずBメインヒートには滑り込めました.

・予選
1回目:13位
2回目:49位
3回目:15位
4回目:18位

1回目は18周5分6秒と練習でも出たことがないタイムを出せて気持ち的には満足できました.
ここまででわかったことは新品タイヤが自分のドライビングに合っていてタイムを出せるということ
メンタル的にBメイン入れるかな?ぐらいで臨んでいたのでノープレッシャーで震えて固くなることなく走れたこと
ちょっといい感じだなと思い予選2回目に臨みます

1分半でリタイヤしてしまいました…
スタートから16秒台を連発していい感じで走れていました.3番スタートですが前の2台にどんどん近づいて自分でもペースが良いことがわかりました.
この時点でもプレッシャーは特に感じていなかったんですが真ん中のロータリーコーナーの手前の縁石に乗せすぎてしまい弾かれてそのまま逆さになりコースフェンスに激突してしまいました.
足回りが壊れたのでリタイヤとなります.

この予選が今回の全日本で最も悔やまれる結果となりました.走り切れていれば大量ポイントをとれていたのかなと…はぁ

左リアサスアームのダンパーピポッド部がネジ山がなくなる感じで壊れていました.
ダンパーシャフトにも負荷がかかったようで少しオイルが漏れた痕跡がありました.

ただ今回のタイムスケジュールでは修理できる時間がなく,サスアーム交換で手一杯でダンパーのエア抜きをできる時間が残されていませんでした.

そのまま挑んだ予選3回目はやはり左リアグリップが不足感がありタイムを伸ばせず悪い流れができつつありました

翌日の予選4回目
私のゴールタイムは18周5分8秒781でBヒート最下位

15周目にストレートエンドのコーナーのターンインで縁石に乗りすぎてミスしてしまいそれまでのアベレージラップに対して約1秒のロス
さらに17周目コース中央の下ってくる高速の左コーナーでスピンしてしまい約1.7秒のロス
計2.7秒失っていました
タラレバですが18周5分6秒に乗れていたら8位ポイントぐらい取れていたみたいです.

ストレートエンドはドライビングエラーで,高速左コーナーはミスをリカバリーしようと無理した結果のミスとなりました.

この予選2回目と4回目の結果はどちらもドライビングエラーが発端となっておりショックがかなり大きいです…

車両としてはTF-Prototype、HOBBYWINGのパワーソースどちらも競争力があるものに仕上げることができたにもかかわらず結果に結びつかなかったというのが悔いが残る結果です.

決勝Bメインは1回目はクラッシュに巻き込まれてセンサーケーブルが抜けてしまい戦線離脱
2回目は激しい2位争いで最後までパスできず3位フィニッシュとなりました.


速いドライバはやっぱり”ここぞ”というタイミングで結果を残すのを何度も目の当たりにしていますし
自分はまだその器になれていないんだろうなと.なれるかは分かりませんが…


とりあえず6月のGPT全日本からラジコン漬けの生活で少し疲れたので11月は少しお休みして
12月のカズキカップやZENの最終戦は楽しんでラジコンできるようにメンタルを休息させようと思います.



2022年10月4日火曜日

グリーンパークスピードウェイでROAR17.5Tを走らせてみる

今年はEPT OPENの全日本も出るので2回目の全日本となります.

今回の全日本は自分のやり方でしっかり準備をして自分の実力を出せればと思っています.

ちょっと遅いですが先週末からグリーンパークに通い始めたので先ずは今年からレギュレーションが変わったモータについて解析してみます.

流れとしては以前の記事の21.5Tを解析したものと同じです.

モータはHOBBYWING XERUN-V10 G4を購入しました


当初はチタンロータがいいのかな?と思いロータ交換をするついでにいろいろ寸法も測ります.



モータ諸元解析

今回G4に変わって見た目に特徴的なのはケースの外径がステータの外径とほとんど同等になったこと
見た目にスッキリしていていいなと思いましたがどうやって同軸を出しているんだろうとも疑問に思っていました.

80A@1000rev/minの解析結果
上の図はさっそく解析してみた図になります.動作点的には高負荷低回転ポイント
ボルトの穴部分も磁束が回っていることがわかるのでこの部分は鉄ネジを使った方がよさそうです.

参考までに外径がツルっとした形状も解析をしてみると外径部分が飽和していたのが緩和されています.
このままの状態では最大トルクの差も出ましたがネジの材質を気にしていれば問題ないかなと思います.



冷却方法の把握

以前の記事でファンのレイアウトとダクトを検討していました.

当時は角30mmのファンで吸気し角40mmのファンで排気するのが最も冷却効率の良い方法でした

今回はファンの積み方を変えていて角40mmを2個掛けしています.レイアウトはそのうち写真UPしますね

この角40mmファンも吸気排気にした方がいいのか?それともどちらも風を当てた方がいいのか?これを最初に検証しました.

結果は大差です
ファンの搭載レイアウトを変えたことで流れ方が変化しどちらも風を当てる方向にした方が圧倒的に冷えることがわかります.約30℃差はかなり大きいと思います.

消費電流もSmartLoggerを使えば簡単に求められます.結果は

Fr_吸気/Rr_排気の場合は2.46A

Fr_吸気/Rr_排気の場合は1.45A

よく冷える方が消費電流も少ないです.いいことづくめですね.

排気側ファンがうまく吸えずにファンに負荷がかかり,温度も冷えないということでしょう.

最も効率がいい冷却方法を見つけたところでギア比やロータを変えてデータを取ります.


効率マップと動作点解析

今回最もやりたかった解析と実走データを重ね合わせてみます
30820417ロータ(12.2 チタン) ギア比5.13
最初はギア比5.6ぐらいから走らせ始めましたが効率マップはすでに検討済みだったのでSmartLoggerで回転数を睨みつつギア比5.13に落ち着きました.

解析で求めた効率マップに青プロットの実走データを重ね合わせています.
概ね効率70%以上のところで走っていますが低回転高トルク域でやや効率が落ちています.
低いところでは効率は50%台に落ちてしまっていますね.
径の小さいロータでかつシャフトがチタンということもありトルクを出すために電流を吐いてしまい銅損が悪化したのかと思われます.

30820444(12.5鉄シャフト純正) ギア比4.98


30820444(12.5鉄シャフト純正) ギア比4.6

※出力アウトラインから実走プロットがはみ出しています.今のところ原因不明…グリーンパーク特有の下り坂が原因か

ほとんど丸一日ギア比を変えたりロータを変えたりした結果, 思いのほかよかったのが鉄シャフトのロータ
鉄シャフトだとシャフトに渦電流が発生
→ロータシャフトが加熱
→マグネットが加熱してしまい磁力が低下し出力低下
となりますが,今回の場合はそれよりも動作点を低回転側に移動しそもそも渦電流を低減させたことのメリットの方が大きい模様

チタンシャフトを使った時のように低回転高トルク領域の非効率部分を使わずに走れています.
ギア比4.98では少し回しすぎで4.6は低回転の非効率部分に足を突っ込んでいるので間ぐらいに解がありそうですね

実走時の昇温データ
青プロットの鉄シャフトギア比4.98は途中でボディを巻き込んで走行中断
オレンジプロットの鉄シャフトギア比4.6は200秒過ぎでクラッシュしてしまい走行を止めています

そこまでのデータを見ても鉄シャフトのほうが温度が低くなっています
ただテスト時間が15~16時半頃と外気温変化が激しい時間帯なのでこの辺りは追加検証が必要そうです.
ただ鉄シャフトのデータは結構取れたので次はチタンシャフトのデータの拡充をしてみようと思います.

走らせたフィーリングとしても鉄シャフトのハイギア方向のほうが走らせやすくていい意味でパワフルなのでスロットルを「探れる」フィーリングでした
チタンシャフトはトルクのスカスカ感がありどうしてもガバ握りしてしまいモータやタイヤを保たせにくい感じです.

次回の宿題項目

モータ温度/電圧/電流のデータ
赤がチタンシャフトギア比5.13/グレーが鉄シャフトギア比4.6
4行目は電流のロガーデータ

予想では鉄シャフトのほうが電流が低くなるハズだったのがむしろかなり高くて20Aほど吐いている

LAPごとの平均電圧 青がチタンシャフト,緑が鉄シャフト

電流を吐いているのでLAPを経るごとに電圧の低下も大きくパワーダウンが起こっています.
実走ではあまり気にならなかったですがデータ的にはトップスピードの低下が顕著になっています.

グリーンパークはホームストレートが下り坂なのでこの辺りはあまり気にしなくてもいいのか
この辺りは5分のトータルタイムをきっちりデータを取ってみて判断しようと思います







2022年8月17日水曜日

SmartLoggerを使ったドライビング比較

ラジコンをしていると車体のセッティングだけではなくて人間力の違いを感じることも多々あると思います.

いいセッティングを見つける能力も人間力かと思いますが,偶にいるタイヤが4つついていれば何とかするみたいな人種もいますよね


中学生の頃に駐車場でちょっと走らせてましたが,本格的にサーキットやレースを初めて10年ほど

ドライビングの上達も以前ほどは感じず何かキッカケや気付きがないと伸びない状況です.

気付くツールとしてSmartLoggerがあるじゃないか!ということで身近なエキスパートドライバーにロガーを積んだラジコンを運転してもらい自分との運転の差を定量的に判断してどういう練習をすればいいのか確かめてみようというのが今回の趣旨です.


袖ヶ浦スタジアムで全日本スポーツクラス直前でいろんな人がいる中自分もTFにロガーを積んで走ってみました

友達にも恵まれてチーヨコのお二人にご協力いただいてドライビングの差を見てみます.


今回の分析区間です

①ダブルヘアピン2個目

このコースの中で比較的単独のコーナーなので純粋な操作を確認できる

②Ωコーナー

袖スタでの鬼門のコーナー 通過時間も2秒ほどと長くこのコースのタイムを向上できる可能性を持つコーナーの一つ

③外周前のS字コーナー

個人的に苦手なコーナー ラインどりもスピードの乗せ方も未だに掴めていない


この3か所を重点的に分析してみます

①ダブルヘアピン2個目

緑がチーヨコN村氏,青がチーヨコA川氏,赤が私のデータとなります.
上からモータ回転数から割り出した車速,スロットル操作,ステアリング操作,ヨーレート,横Gをすべて同じ時間軸で表現しています.

赤プロットの自分のデータを基準にして考えてみます.
それぞれのタイミングでの操作は
4.8秒:スロットルオフ→ほぼ100%ブレーキング この間0.2秒ほど
           左へステアリング転舵を開始
5.2秒:ブレーキを徐々に弱めつつ5.4秒時点でほぼゼロとなる
5.4秒:左へほぼ100%転舵、スロットルを入れ始める

ブレーキングの開始は3人ともタイミングを合わせたので4.8秒時点から比較してみます
三者三葉ですがN村氏はジワッとブレーキングをして50%程度で止めています
対してA川氏は急峻に90%程度まで一気にブレーキをかけています.そのあと5秒時点で75%までブレーキを弱めて5.2秒時点までブレーキを弱めていきます

ブレーキングが最も弱いN村氏が最もスピードをキャリーしてコーナリングしていることがわかります.
ジワッとブレーキングをしていてさらにブレーキ力も弱いのでフロントタイヤは減速よりも向きを変える方向にグリップを使えている様子です.
その証明に5秒時点でヨーも出ていますし,横Gも2G程度をずっとキープしていて速い旋回をしていることがわかります.

対してA川氏はスロットル全開の4.6秒時点で一瞬25%ほど左へステアしています
そこで車体にヨーが発生し向きが変化しそれが収束したタイミングでブレーキングを開始,ステアリングを3回左へ切り込んで向きを変えています.
彼がスピードに乗っている時はステアを分けて切っておらず,終盤のフロントタイヤが劣化してきたときに見える操作です.
A川氏の運転したタイミングではタイヤの状態やセットアップが良くなくて,かなりアンダーステアなフィーリングとなってしまいこのような操作になってしまったものと考えています.


②Ωコーナー


ここでも私(赤プロット)を基準としたそれぞれのタイミングは

6.5秒:左に転舵を始める

6.7秒:コースト状態でΩの左側に侵入

7.1秒:一瞬スロットルを入れて加速した後減速,同時に右へ転舵

8秒:右の転舵を緩めながらスロットルを入れ始める


ここでもN村氏(緑プロット)のブレーキングの丁寧さと弱さが目立ちます.

ブレーキングをかけている時間は私の赤プロットとほとんど同じですが量が半分程度となるのでスピードの乗り方が全く異なります.

その速度でも曲がるのか?となりますがここでも強いブレーキの私は80%程度しか右に転舵できていないが,弱いブレーキのN村氏は100%右へ転舵できています.

A川氏は左から右へ急峻な転舵ができておりヨーも一気に出ていることからカウンターをあててリアを落ち着かせていると考えられ,反応速度の速さがデータにも表れています.


③外周前S字コーナー


こちらはN村氏とA川氏はほとんど同じ操作をしていて

自分だけ右に入っていくタイミングでブレーキをかけずに転がして入ってます

車速は高いですがヨーが出ていないので向きを変えられておらず膨らんでいることがわかります.

対して2人の操作はブレーキをかけて小さく曲がっていることがこのデータからもわかります.

初めの右はブレーキをかけなくても曲がれてしまいますが右を小さく曲げて次の左に備えているということですね.その先は緩い外周のコーナーから長いストレートですし



この3つのデータはすべて同じ車両で測定していて

セッティングはアンダーステア傾向です.(これは最近の悩みの種ですが)

なので

N村氏:ステアリング操舵角が多くなっている(操舵角が100%に張り付きが多い)

A川氏:捨て切りが多くなっている

というのが普段の彼らのBD11との差異かと思います.

現に夕方には自身のBD11で18Lにバンバン入れて好調に走っていましたからね


そのことを踏まえつつ今回のデータから見た今後の操作の練習の方向性としては

・ブレーキングの強さとフロントグリップを意識して高いスピードでキャリーする

・コーナリング初期にヨーを出してしっかりと横Gを出す(タイヤにしっかり荷重を乗せるイメージ)

この辺りかと思います.

出来たかできてないかはデータロガーを使って検証ができますね


自分の運転も気になる!という方は是非気軽に声をかけていただければと思います

宇宙人な人のデータもとってみたいなぁ~

2021年10月20日水曜日

シャーシフレックスを解析してみた

 また昼休み解析シリーズです.

この前は磁気解析でしたが今回は構造解析です.

単体部品はその昔ダンパーステーの静解析をFUSION360でやっていました.ソルバーはNastranと本格的ながらなんせプリポストがなかなか使いづらい

ということでCATIA V5CAEで解析をしてみます.業務スキル向上のためアッセンブリ解析をマスターすべく自己啓発でラジコンのアッセンブリを解析してみました


先ずは簡単な解析から始めてみます.部品の登場人物は全部で6個のみ

それぞれの部品は仮想のボルトで締結されるメッシュとしました.それぞれのボルトはM3で30cNmで締結される軸力で設定しました.ボルトのバネ定数も設定できるみたいでアルミやチタンのヤング率を入れると解析できそうですが,今回はシャシーの形状を変えて傾向をみたいのでとりあえずパスしデフォルトの値に設定.

ちなみにラジコンマガジンの9月号もシャシーフレックスが話題だったので久々に購入
主にネジでのフレックス変化について言及してました


話はCAEに戻りシャシーのリア回りを拘束し、ロール軸付近に回転モーメントの荷重を掛けて解析を実施しました.

で解析結果が上の図です.アッパーデッキが50MPa程度、ロアデッキは1~8MPaの分布です.

最大主応力はかなり高くなってしまっていますが捻じれる傾向は再現できていそう

そこで同条件で別案形状も解析を流してみます.


最近TF使いのなかで流行っているアッパーデッキをカットし赤丸のステアリングポスト付近をボルトで止めるというもの

このボルトはキッチリ締結しないので仮想ボルトとしては再現できず,部品としてモデル化しました.クリアランスを0.1mm開けた想定で解析を実施.

結果としてはアッパーデッキの応力コンターが変化しました.

アッパーデッキの前側とボルト部分は応力が高くなっているものの,その後ろからは標準状態よりも応力は低くなっています.ボルト部分で捻じれる際の応力を吸収することで剛性が高くなり,後ろ側はフリーに近い状態になっていることが分かります.

このアッパーデッキで実走した際によく曲がるがリアは安定して走るようになったのでこのコンターのパターンではよく走るというバックデータも得られました.



今後のことを考えて部品を追加してさらに解析できるように準備しておきます.

題材としては最近やっているロアバルク下面を1mm削り,代わりに1mmシムを挟んで締結するものとしました.

この仕様は先週のRTCでも実施していてグリップ感が増して走ってよく走るフィーリングでした.


モデルとしてはこんな感じでロアバルクの下にシムを入れたとしてバルクの形を変えました.

更にアッパーバルクやダンパーステーも部品を追加.もうこれ以上の部品追加は拘束を設定する工数や解析時間的にももう現実的じゃないです.

ダンパーステーまで再現したので回転モーメントの荷重印加ではなくダンパーステーの穴に直接荷重を掛けて解析します.

適当な絵ですがブレーキングを引きずりつつ左コーナーにターンインする際の各タイヤへの荷重移動のイメージです.このタイミングがターンイン時に大きくシャーシが捻じれてそうな妄想です.荷重移動量も妄想ですが恐らくこんな感じじゃないかなと
流れとしては
①1350gをそれぞれのタイヤの割合に荷重移動した値を計算
②ダンパーの角度が70°としてZ軸方向、Y軸方向へ荷重を分解
③②で求めた値をダンパーステー穴へ印加
④サスマウントへの反力を求めメインシャーシへサスマウント接地面積へ印加
ここまでは普通の関数電卓で求めます


都合上モータマウント接地面を拘束しているという前提で解析結果はこんな感じです.
意外とダンパーステーにも曲げ応力が発生しているんですね
ダンパーステーの面積を変えるとハンドリングが変わるのも納得です.
さらに無限のMTC2のように縦のカーボン板がない場合はこの応力がモロにロアバルク付け根に集中するのでそのあたりも興味ありですね


さてノーマルとシム挟み想定を比較してみます




濃い青がノーマル、カラフルなコンターがシム挟み想定です.その2つを同じ座標系に重ねています.

ほとんど捻じれ量は同じですが,ロアバルク取り付け点を起点にやや捻じれ方が変わり

シム挟み想定のほうが変位量が0.08mm多いという結果となりました.


捻じれ量の絶対値はコリレーションを取ってないのであまり信用ならないですが

傾向は同じはず


ネジの材質でハンドリングが変化するほどなので、バルクの取り付け点剛性、そもそものバルク剛性の差は見逃せないのかなと思います.


今のところは成り行きで解析ケースを流していますが

”こうすれば良さそうと仮説立て”→”解析してみる”→”想像と比較”→”試作してみる”or”仮説立てに戻る”→”走って評価”

とこのループを個人レベルでも回せるとラジコンはもっと面白くなりそうです


2021年9月29日水曜日

ロータ径の考察【続編】

 久しぶりの投稿になってしまいました汗

転勤してからバタバタしていた期間が過ぎ、実はほぼ毎週晴れていればラジコンをしていました。最近は主にストックの電動ツーリングをZENを中心にする生活です。

そんなストックツーリングレースが10月に袖スタで実施されるので参加しようとしています。

ストックのパワーソースってかなり重要でテクニックだけではどうにもならないパワーの差が出てしまいます。


ということで今回もモータの考察です。

約1年近く前になりますがこの記事でロータ径についての考察をしてました。

この時はsmartloggerで加速特性を実測してトルクがどれだけ変化するのか?というのを実測で評価していました。

17.5Tストックを半年近くやって分かってきたことはトルクだけを考えているともちろん5分を速く走れないということ

ファンでちゃんと冷却しないと結構発熱がすごくて後半パワーがタレてしまいます。なので以前ダクトを自作して冷却効率を上げる工夫をしていました。

今回の記事は熱の根本原因である損失低減を考えていきます。

対策としてはチタンロータを使うことで損失を減らし熱減磁しないようにすることが効果的でした。

鉄シャフトロータだとシャフトも磁気回路になってしまい鉄のヒステリシス損失により発熱してしまい損失になってしまうのが理由と考えてます。

ロータ側はシャフトで対策できてもステータ側は?となるので今回はロータ径別で考えてみます。

ということで磁場解析ソフトを用いてロータ径別での損失解析をしてみました
スキルアップのための自己啓発でラジコンモータを題材に就業時間外でやってました
ステータの詳細形状もエイヤーで、磁石のスペックも想像なので実機でのデータとはズレがあると思いますがロータ径だけでの相対比較はできるはず

上の図は鉄損密度のコンタープロットです。磁束密度の高いティース部分がやはり損失が高いですね。ティース部分から発熱してステータ全体に伝熱しているんでしょう

ということで今回はチタンロータを前提にφ12.3mmとφ12.5mmのロータ径で比較してみました

回転数とステータ鉄損の関係

回転数の上昇につれて損失が増加しているのはステータコアの鎖交磁束が渦電流を発生させジュール発熱をしてしまうため

鎖交磁束は磁力に比例するのでステータにより近いφ12.5mmロータの方が損失が多いという結果になっています.どちらが大きいかは想像できましたが、差を定量的に比較するために解析を実施した次第です。

結果としては40krpmでは300W近い損失が出ているみたいです.電気ストーブ並ですね


ネットの計算公式サイトで10秒間モータ相当の鉄にエネルギーを与えた時の発熱をプロットしてみました

現実的には30krpmがほぼ最大回転数でその時の損失は約200W→10秒で35度ぐらい昇温しちゃうみたい


まとめると損失差分は同回転数で比較して12%ほどになっています.

φ12.5mmロータでφ12.3mmロータと同程度の損失にするためにはギア比を調整して回転数を0.925倍しないといけないみたいです.


ここで同条件でのトルクの比較です.

10krpm時のTI比較
もう少し差が出るかなと思いましたが5〜6%程度のトルクの差みたいです
φ12.5mmロータでギア比をハイギア側に調整したとしてもトルクの差が少ないので最終的な足軸のトルクは減る方向になってしまいます.


以前BRCサーキットでsmartloggerで回転数頻度を計算したら17.5Tストックでの回転数の重心点は約20krpm程度でした。

このモードにおいてはφ12.3mmとφ12.5mmの2つの比較ではφ12.3mmロータの方がトルクが出てかつ損失も少なくバランスが良いという結論となりました。

φ12.1mmもラインアップにはありますが時間がなくて解析できてません、、とはいえ今度は損失が低いがトルクも出ないという結果かもしれないですね


ここまで分かってただ持ってるチタンローターφ12.5mmなんだよなあ…

ROAR規格だとロータ変えないと聞くし今更ロータ買い足すのは悩むなあ

2021年5月16日日曜日

モデファイモータで特訓


加熱したアンプを冷却中の図

とある方のアドバイスでモデファイモータを積んでラジコンをしていました.

実はブレーキングの操作に自信がなく,何が正解なんだろうなぁと思いながら運転していました.

一時はドラッグブレーキを20%程度まで上げて自分でブレーキをするのを放棄している時期すらありました.


以前袖スタで走らせていた時にブレーキングの苦手意識だったところをハッキリと指摘され,改善策としてモデファイを走らせる特訓を始めた次第です.



使ったモータはHWの5Tモータです.スロットルのツキがマイルドで初めてのモデファイでもかなり使いやすかったです.慣れてきたので4.5Tにしてみようと思います.




コースにも許可をいただいてシュガーウォーターを撒いて走れる環境を作るところからスタートしました.

やってみて分かりましたがコーナーだけじゃなくてストレートもちゃんとグリップしないとモデファイは難しいですね、、、


BRCを走ったことある方は分かるかもしれませんが,フェンスに囲まれたコースで走るモデファイはなかなかにスリリング!

17.5Tブーストの時の最高速が計算上では68km/hに対して,モデファイの最高速は83km/h出ててたみたいです.

今回の特訓は4月末の連休前から5月連休とその後の期間で実施

トータル892周、約200kmをほぼノンクラッシュで走破しました


この200kmで得られた経験としては圧倒的な加速、そしてその後のブレーキングと一連に渡るスピードコントロールの精度でした.

普段より10km/h以上速い車速からコーナリング速度はストックとほぼ変わらないので必然的にブレーキングはシビアになってきます.

今までブレーキングは直線区間である程度終わらせて,ステアリングを操作し曲げていましたがどうにもそれではブレーキングが間に合わないので

少しブレーキング→ステアを少し切り車体を僅かにロールさせる→強めのブレーキングで車速を落としつつステアも切りながら向き変え、というターンインの姿勢になりました.

この強いブレーキと同時にしているステア操作で外側前輪のグリップ円を超えないように操作するのが今回のモデファイ修行の肝でした.

頭でわかっていても体が付いてこない典型でしたが,意識しながらやっていると徐々に慣れてきて…

縦軸はタイム 横軸は出走回数
延べ4日間ですが徐々にタイムを上げられました.
通う度に進歩を感じることができてラジコンを始めて10年ぐらいでこの感覚は初心者の頃みたいで久々の楽しい感覚でした.

ちょいちょい新品タイヤは下ろしていましたが最後の3パックほどは32Sタイヤの新品タイヤでの走行
路面温度にドンピシャで大幅にタイム更新でした.

目標にしていた5分19周はクリアできましたが,ベストラップの15秒台入りはもう少しという結果になりました.

ブレーキングの修行は進んでいるものの,そのあとの向きの変え方,駆動時の前に出すスロットルの引き方はまだまだ習熟が必要そうです.

とはいえラジコンのほぼ最速のカテゴリーで,これを習熟するといろんなカテゴリーでの操作が楽になるんじゃないかなと思っています.
今のところの目的はストックで速くなるため!ですね



モデのセッティングとしてはストックと全く同じというわけにはいかず
パワーが大きくなる分,駆動/制動力を受けるピッチングが大きくなる方向になりました.
動きすぎを防ぎつつシャシーと路面の干渉をし過ぎないようにするというのがセッティングの方向でした.
ホイールベースやスキッドでこのあたりの姿勢の調整が出来る感じです.


今月は転勤等がありもうラジコンが出来なくなりそうですが
梅雨明けぐらいからまた再開して修行の続きをしていこうと思います.

2021年4月22日木曜日

ARTSの学習

 ARSだったり、RTCだったりメーカーによって名称がバラバラですが

京商車の場合はARTSと言うみたいです.

ストロークさせたときにリアトーを変化させてコーナリングの挙動を変える機構ですね

今まであまり興味なかったんですがスピキンで袖ヶ浦スタジアムを走らせたときに使っている車両も多く使ってみたいと思い始めました.
特にタイトターンで素早く向きが分かっているような動きをしていてスロットルオンの時間を長くできてタイムアップに有効じゃないかと思いました

上の画像のように取扱説明書にあるような組み立て方を実践してみるのも良いですが
いろんな場所にボールスタッドを取り付けられるのでいろいろ実験してみます.

ボールスタッドといえばAMRから便利な商品が最近発売されました!

こんな感じで使います
今までボールエンドを組み立てるのは手が痛くなるのであまり好きじゃありませんでした
このツールを使うと全く苦痛にならず素早く組み立てられますよ!
ボックスレンチとのはめ合いもいい感じで簡単に外れないので電動ツールと併用するとさらに早く組み立てられそうです!
値段もリーズナブルで場所も取らないので工具箱のお供にぜひ!

さて
今後のことを考えると組み換えが大変なのでCADでサスアームを作図してみました!
実際にASSY部品たちがストロークした時にトー変化した時はちょっと感動しましたw

TF7.7の標準位置で動かしたときのトー変化は下のグラフ
車高変化が縦軸、トー変化が横軸です
最大トー変化よりもトー変化の仕方を把握したかったのでこういう図を作ってみましたが,ラジコンのサスストロークだと変化は線形でした、COS波みたいになると思ってたんですけどね、、

トー変化中のトー角の実測方法

車高ゲージを使いながら細かく車高を変えていっても上の線図と同じ結果が得られました.
ただ注意点としてはボールエンドのガタ分は寄せた上では一致したという点です.


トー変化でいうと伸び側ではトーアウトにならず1G状態から車高が変わるときにはトーイン側に変化するのが運転しやすいのかなと思っていました.
そんな仮説の中でどういうトーコントロールロッドの長さが良いのか?と考えた時
ロアアーム長>アッパーアーム長>トーコントロールロッド長
となる組み合わせで上記トー変化が再現できるかなと
実際に組み立てたのはこんな感じ

トーコントロールロッドはめっちゃ短くなりました



標準位置ではスペーサ量を調整したという仮定でフルバンプで1度のトー変化を想定しています.トー変化量は大体このあたりみたいなので
短いトーコントロールロッドは狙い通りバンプ側はほぼ同じトー変化量ですが、リバウンド側はトーアウト側に振れないようになりました.

実際に搭載した写真があるということは実走したということですが
走らせたフィーリングとしてはリアステアがかなり強い印象です.
高速コーナーの踏ん張り感はちゃんとあるし、向きは早く変わりますが,向きの変わり方が気持ち悪く、フォークリフトみたいなリア操舵の車両みたいな動きをしました.
非線形なトー変化をすると気持ち悪い向きの変わり方をするんじゃないかなというのが自分の中の結論です


いろいろ試しているなかでBRCの常連さんの意見で
サスマウントから取るとシャシーロールで捻じれるので影響受けないバルクからトーコントロールロッドを取るほうがいいのでは?とあり、納得の意見だったので採用となりました.

現地でバルクヘッドまで分解して、ホロービスを植えて、ボールスタッドを付けるという結構な手間でしたが走らせたフィーリングとしては上々でした

取り付けはこんな感じ
注意点としてはナックルは左右反対で取り付けて、ナックル側のボールエンドは写真のように上側に取り付けています.バルク側には特にスペーサは入れてないです.
TF7のナックルはアクスル軸に対して上下対象じゃない形状を利用して左右反対とすることでトーコントロールロッドの調整幅を増やしました.

またボールスタッドは可動範囲の広さと取り付け部の薄さも鑑みてこれを使っています

上々なフィーリングと述べましたが具体的には
ターンインは気持ち悪さが無い程度に素早く向きが変わり、スロットルオンでは確実にリアがグリップして安心して立ち上がれます
単独の低速コーナーでは素早く向きが変わりますが、コースレイアウトの都合からターンインからすでにロールしているコーナーは単独のコーナーよりも少し曲がりが弱くなります.
トー変化がすでに終了しているからというのが理由でしょう
この辺りはドライビングに少し慣れが必要そうです.

タイトコーナーが多い今のレイアウトのBRCではノーマル足からこのバルクから取るATRSでベストラップは0.1秒のタイム更新となりました.


バルクから取ることを基本としてトー変化量を算出しなおしました
スペーサはナックルの上に置く想定です
5mmフルバンプ時の最大トー変化をスペーサ量で整理

0.5mm入れる入れないでかなり動きが変わったのでこの辺りは良いところでやめないと沼ですね、、

先週末にようやく初めてATRS使ってまともに走れるようになったので今後もいろいろ試す必要がありそうです