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2021年12月16日木曜日

ROARモータレギュレーションへの準備

 来年の全日本のモータ規定がJMRCA独自規格だったものがROAR規定になるようです.

レギュレーションの決まる経緯やモータの認定は正直そんなに興味がないのでここには書きません.

ただ来年度の規定はこうします!という公式なアナウンスはなるべく早く欲しいですね.準備期間的にも


JM→ROAR化で同じターン数の場合速くなると聞いた上に,実際にROARモータをテストしている場面にも出くわしていて速いなぁと感じたので実際に自分がモータを購入する前にシミュレーションでいろいろと準備しようと思います.

ワークスやサポートドライバーの方々のセットアップシートが出揃わない中で、モータを買って燃やしましたとか減磁させました等は嫌ですからね

今回は仕事で使って便利だったツールでJMAG-Expressを使用して出力や進角特性を解析してみます.


各部の寸法や巻線方法、通電方法を入力するだけで回転数とトルクの関係や効率、熱解析まで実施してくれます.しかもこのツールは会員登録だけで使用することができるのでかなり便利なツール

JMAGユーザーや有料会員になるとより詳細な解析を実施できますが,ラジコンモータの設計者ではなくあくまでユーザーなので無料の機能だけでも十分な評価項目になります.

さて情報収集して得られたJMとROARの大きな変化点が下の表になります.

これに加えてステータ外径が少し小さくなり軽くなっているみたいです.

積厚変化もあるみたいですがROAR規定を眺めても積厚の項目が書いてなかったのでとりあえず同じ寸法と仮定しています.


これだけの情報では解析できないので手持ちのモータを分解してみました.


ドナーは約半年ほぼ毎週酷使したHWの17.5TJMRCAです.一度ファンが止まってる状態で5分間走行もしてしまいかなり高温になってしまった履歴があります.巻線も真っ黒ですね、、

最近2分過ぎから極端にパワーが落ちてくるのですが、ロータを交換しても改善されないのでステータに原因がありそうです.

モータ缶からステータのみ取り出し,ABC相のバスバーCOMPと銅のリングをニッパーを使って切断.

この段階で左側の銅のリングは中点であることが判明.このモータはスター結線ということがわかりこれもJMAGに入力します.

巻線を解して外していきます.今まで機械巻きだと思っていましたが,ティース先端の形状から手巻きっぽいですね.生産数から設備投資をするよりも人が作ったほうが安いのもありますが,ステータコアの形状からかなり性能に振った思想なのでそもそもの構想が手巻き前提だと思いました.

巻線の占積率もかなり高いです.絶縁はステータコアの緑の粉体塗料と相間絶縁の絶縁紙が入っていました.


中点には2本の巻線が並列に接続されており2パラの巻線パターンということがわかります.

※上記の数項目は分解しなくてもよく観察すれば分かる項目なので決定的なノウハウではないと考えております.これはノウハウだな、、ってところは記載していません


完全に分解してバスバーCOMPの裏側の巻線の絶縁被膜が炭化している部分を発見

うまくファンの風が当たらない部分で、高温になり絶縁被膜にダメージが及んだんでしょう

常温近くでは絶縁できているので機能するが,高温になると絶縁性能が極端に低下しこの部分だけ地絡気味になりパワーダウンしていたんでしょう



ということでステータコア単体になったので各部の寸法を測定しました.

ステータコアの形状は同一と仮定して各項目をJMAG-Expressに入力し解析した結果が下記になります.

横軸回転数も出せる神ツールです.普通のJMAGだとMATLABに計算させたりしないと出てこない項目

出力は銅損が減っている分ROARの17.5Tが飛びぬけて高く解析していませんがJMの13.5T並みなのかなと
またROAR21.5TとJM17.5Tはほぼ同等の出力が出ていることがわかります.
トルクや最大効率点がROAR21.5Tのほうが高回転側にシフトしておりJM17.5Tと比較すると少しローギア気味で運用するのが良いのかと思います.



JMRCAスペックでの電気進角違いでの各出力特性とトルクベスト時の進角特性です.
ラジコンモータは機械進角もついてて,設計位相角がよくわからないのでとりあえず電気進角のみです.

トルクベストになる進角はほぼリニアな特性になっています.
ターボ進角を付けずにブースト進角のみで使ってる人を見かけますが理にかなった使い方なんだなと思います.

ここからROARモータの特性

ROAR 17.5Tの特性


ROAR 21.5Tの特性

どちらもベスト進角となる回転数の特性がJMRCAモータと異なっています.
ロータ磁石が薄くなったことによるパーミアンス係数の変化と抵抗値の低下によりこの差が出ているものと考えられます.

どちらも15krpm程度までは線形に進角を上げてもよさそうですが,それ以降の回転数では傾きが鈍化しています.
なのでROARモータでは途中からブースト進角とターボ進角を併用したほうが綺麗にトルクを出せるのではないかと思います.

15krpmを起点にしてもよいかというのは機械進角にもよるのでこの辺りはsmartloggerを使いながら実走でテストすべきかなと思います.

2021年10月20日水曜日

シャーシフレックスを解析してみた

 また昼休み解析シリーズです.

この前は磁気解析でしたが今回は構造解析です.

単体部品はその昔ダンパーステーの静解析をFUSION360でやっていました.ソルバーはNastranと本格的ながらなんせプリポストがなかなか使いづらい

ということでCATIA V5CAEで解析をしてみます.業務スキル向上のためアッセンブリ解析をマスターすべく自己啓発でラジコンのアッセンブリを解析してみました


先ずは簡単な解析から始めてみます.部品の登場人物は全部で6個のみ

それぞれの部品は仮想のボルトで締結されるメッシュとしました.それぞれのボルトはM3で30cNmで締結される軸力で設定しました.ボルトのバネ定数も設定できるみたいでアルミやチタンのヤング率を入れると解析できそうですが,今回はシャシーの形状を変えて傾向をみたいのでとりあえずパスしデフォルトの値に設定.

ちなみにラジコンマガジンの9月号もシャシーフレックスが話題だったので久々に購入
主にネジでのフレックス変化について言及してました


話はCAEに戻りシャシーのリア回りを拘束し、ロール軸付近に回転モーメントの荷重を掛けて解析を実施しました.

で解析結果が上の図です.アッパーデッキが50MPa程度、ロアデッキは1~8MPaの分布です.

最大主応力はかなり高くなってしまっていますが捻じれる傾向は再現できていそう

そこで同条件で別案形状も解析を流してみます.


最近TF使いのなかで流行っているアッパーデッキをカットし赤丸のステアリングポスト付近をボルトで止めるというもの

このボルトはキッチリ締結しないので仮想ボルトとしては再現できず,部品としてモデル化しました.クリアランスを0.1mm開けた想定で解析を実施.

結果としてはアッパーデッキの応力コンターが変化しました.

アッパーデッキの前側とボルト部分は応力が高くなっているものの,その後ろからは標準状態よりも応力は低くなっています.ボルト部分で捻じれる際の応力を吸収することで剛性が高くなり,後ろ側はフリーに近い状態になっていることが分かります.

このアッパーデッキで実走した際によく曲がるがリアは安定して走るようになったのでこのコンターのパターンではよく走るというバックデータも得られました.



今後のことを考えて部品を追加してさらに解析できるように準備しておきます.

題材としては最近やっているロアバルク下面を1mm削り,代わりに1mmシムを挟んで締結するものとしました.

この仕様は先週のRTCでも実施していてグリップ感が増して走ってよく走るフィーリングでした.


モデルとしてはこんな感じでロアバルクの下にシムを入れたとしてバルクの形を変えました.

更にアッパーバルクやダンパーステーも部品を追加.もうこれ以上の部品追加は拘束を設定する工数や解析時間的にももう現実的じゃないです.

ダンパーステーまで再現したので回転モーメントの荷重印加ではなくダンパーステーの穴に直接荷重を掛けて解析します.

適当な絵ですがブレーキングを引きずりつつ左コーナーにターンインする際の各タイヤへの荷重移動のイメージです.このタイミングがターンイン時に大きくシャーシが捻じれてそうな妄想です.荷重移動量も妄想ですが恐らくこんな感じじゃないかなと
流れとしては
①1350gをそれぞれのタイヤの割合に荷重移動した値を計算
②ダンパーの角度が70°としてZ軸方向、Y軸方向へ荷重を分解
③②で求めた値をダンパーステー穴へ印加
④サスマウントへの反力を求めメインシャーシへサスマウント接地面積へ印加
ここまでは普通の関数電卓で求めます


都合上モータマウント接地面を拘束しているという前提で解析結果はこんな感じです.
意外とダンパーステーにも曲げ応力が発生しているんですね
ダンパーステーの面積を変えるとハンドリングが変わるのも納得です.
さらに無限のMTC2のように縦のカーボン板がない場合はこの応力がモロにロアバルク付け根に集中するのでそのあたりも興味ありですね


さてノーマルとシム挟み想定を比較してみます




濃い青がノーマル、カラフルなコンターがシム挟み想定です.その2つを同じ座標系に重ねています.

ほとんど捻じれ量は同じですが,ロアバルク取り付け点を起点にやや捻じれ方が変わり

シム挟み想定のほうが変位量が0.08mm多いという結果となりました.


捻じれ量の絶対値はコリレーションを取ってないのであまり信用ならないですが

傾向は同じはず


ネジの材質でハンドリングが変化するほどなので、バルクの取り付け点剛性、そもそものバルク剛性の差は見逃せないのかなと思います.


今のところは成り行きで解析ケースを流していますが

”こうすれば良さそうと仮説立て”→”解析してみる”→”想像と比較”→”試作してみる”or”仮説立てに戻る”→”走って評価”

とこのループを個人レベルでも回せるとラジコンはもっと面白くなりそうです


2021年9月29日水曜日

ロータ径の考察【続編】

 久しぶりの投稿になってしまいました汗

転勤してからバタバタしていた期間が過ぎ、実はほぼ毎週晴れていればラジコンをしていました。最近は主にストックの電動ツーリングをZENを中心にする生活です。

そんなストックツーリングレースが10月に袖スタで実施されるので参加しようとしています。

ストックのパワーソースってかなり重要でテクニックだけではどうにもならないパワーの差が出てしまいます。


ということで今回もモータの考察です。

約1年近く前になりますがこの記事でロータ径についての考察をしてました。

この時はsmartloggerで加速特性を実測してトルクがどれだけ変化するのか?というのを実測で評価していました。

17.5Tストックを半年近くやって分かってきたことはトルクだけを考えているともちろん5分を速く走れないということ

ファンでちゃんと冷却しないと結構発熱がすごくて後半パワーがタレてしまいます。なので以前ダクトを自作して冷却効率を上げる工夫をしていました。

今回の記事は熱の根本原因である損失低減を考えていきます。

対策としてはチタンロータを使うことで損失を減らし熱減磁しないようにすることが効果的でした。

鉄シャフトロータだとシャフトも磁気回路になってしまい鉄のヒステリシス損失により発熱してしまい損失になってしまうのが理由と考えてます。

ロータ側はシャフトで対策できてもステータ側は?となるので今回はロータ径別で考えてみます。

ということで磁場解析ソフトを用いてロータ径別での損失解析をしてみました
スキルアップのための自己啓発でラジコンモータを題材に就業時間外でやってました
ステータの詳細形状もエイヤーで、磁石のスペックも想像なので実機でのデータとはズレがあると思いますがロータ径だけでの相対比較はできるはず

上の図は鉄損密度のコンタープロットです。磁束密度の高いティース部分がやはり損失が高いですね。ティース部分から発熱してステータ全体に伝熱しているんでしょう

ということで今回はチタンロータを前提にφ12.3mmとφ12.5mmのロータ径で比較してみました

回転数とステータ鉄損の関係

回転数の上昇につれて損失が増加しているのはステータコアの鎖交磁束が渦電流を発生させジュール発熱をしてしまうため

鎖交磁束は磁力に比例するのでステータにより近いφ12.5mmロータの方が損失が多いという結果になっています.どちらが大きいかは想像できましたが、差を定量的に比較するために解析を実施した次第です。

結果としては40krpmでは300W近い損失が出ているみたいです.電気ストーブ並ですね


ネットの計算公式サイトで10秒間モータ相当の鉄にエネルギーを与えた時の発熱をプロットしてみました

現実的には30krpmがほぼ最大回転数でその時の損失は約200W→10秒で35度ぐらい昇温しちゃうみたい


まとめると損失差分は同回転数で比較して12%ほどになっています.

φ12.5mmロータでφ12.3mmロータと同程度の損失にするためにはギア比を調整して回転数を0.925倍しないといけないみたいです.


ここで同条件でのトルクの比較です.

10krpm時のTI比較
もう少し差が出るかなと思いましたが5〜6%程度のトルクの差みたいです
φ12.5mmロータでギア比をハイギア側に調整したとしてもトルクの差が少ないので最終的な足軸のトルクは減る方向になってしまいます.


以前BRCサーキットでsmartloggerで回転数頻度を計算したら17.5Tストックでの回転数の重心点は約20krpm程度でした。

このモードにおいてはφ12.3mmとφ12.5mmの2つの比較ではφ12.3mmロータの方がトルクが出てかつ損失も少なくバランスが良いという結論となりました。

φ12.1mmもラインアップにはありますが時間がなくて解析できてません、、とはいえ今度は損失が低いがトルクも出ないという結果かもしれないですね


ここまで分かってただ持ってるチタンローターφ12.5mmなんだよなあ…

ROAR規格だとロータ変えないと聞くし今更ロータ買い足すのは悩むなあ

2021年5月16日日曜日

モデファイモータで特訓


加熱したアンプを冷却中の図

とある方のアドバイスでモデファイモータを積んでラジコンをしていました.

実はブレーキングの操作に自信がなく,何が正解なんだろうなぁと思いながら運転していました.

一時はドラッグブレーキを20%程度まで上げて自分でブレーキをするのを放棄している時期すらありました.


以前袖スタで走らせていた時にブレーキングの苦手意識だったところをハッキリと指摘され,改善策としてモデファイを走らせる特訓を始めた次第です.



使ったモータはHWの5Tモータです.スロットルのツキがマイルドで初めてのモデファイでもかなり使いやすかったです.慣れてきたので4.5Tにしてみようと思います.




コースにも許可をいただいてシュガーウォーターを撒いて走れる環境を作るところからスタートしました.

やってみて分かりましたがコーナーだけじゃなくてストレートもちゃんとグリップしないとモデファイは難しいですね、、、


BRCを走ったことある方は分かるかもしれませんが,フェンスに囲まれたコースで走るモデファイはなかなかにスリリング!

17.5Tブーストの時の最高速が計算上では68km/hに対して,モデファイの最高速は83km/h出ててたみたいです.

今回の特訓は4月末の連休前から5月連休とその後の期間で実施

トータル892周、約200kmをほぼノンクラッシュで走破しました


この200kmで得られた経験としては圧倒的な加速、そしてその後のブレーキングと一連に渡るスピードコントロールの精度でした.

普段より10km/h以上速い車速からコーナリング速度はストックとほぼ変わらないので必然的にブレーキングはシビアになってきます.

今までブレーキングは直線区間である程度終わらせて,ステアリングを操作し曲げていましたがどうにもそれではブレーキングが間に合わないので

少しブレーキング→ステアを少し切り車体を僅かにロールさせる→強めのブレーキングで車速を落としつつステアも切りながら向き変え、というターンインの姿勢になりました.

この強いブレーキと同時にしているステア操作で外側前輪のグリップ円を超えないように操作するのが今回のモデファイ修行の肝でした.

頭でわかっていても体が付いてこない典型でしたが,意識しながらやっていると徐々に慣れてきて…

縦軸はタイム 横軸は出走回数
延べ4日間ですが徐々にタイムを上げられました.
通う度に進歩を感じることができてラジコンを始めて10年ぐらいでこの感覚は初心者の頃みたいで久々の楽しい感覚でした.

ちょいちょい新品タイヤは下ろしていましたが最後の3パックほどは32Sタイヤの新品タイヤでの走行
路面温度にドンピシャで大幅にタイム更新でした.

目標にしていた5分19周はクリアできましたが,ベストラップの15秒台入りはもう少しという結果になりました.

ブレーキングの修行は進んでいるものの,そのあとの向きの変え方,駆動時の前に出すスロットルの引き方はまだまだ習熟が必要そうです.

とはいえラジコンのほぼ最速のカテゴリーで,これを習熟するといろんなカテゴリーでの操作が楽になるんじゃないかなと思っています.
今のところの目的はストックで速くなるため!ですね



モデのセッティングとしてはストックと全く同じというわけにはいかず
パワーが大きくなる分,駆動/制動力を受けるピッチングが大きくなる方向になりました.
動きすぎを防ぎつつシャシーと路面の干渉をし過ぎないようにするというのがセッティングの方向でした.
ホイールベースやスキッドでこのあたりの姿勢の調整が出来る感じです.


今月は転勤等がありもうラジコンが出来なくなりそうですが
梅雨明けぐらいからまた再開して修行の続きをしていこうと思います.

2021年5月12日水曜日

スプリングレート再整理(GP)

 EP系のスプリングの記事をGPのスプリングにも書いてみます.


GPスポンジ V-ONE R4の場合

使用時のバネ長/たわみ量

■リア

1G:22.21/0.79

フルバンプ:18.66/4.34

フルストローク:16.06/6.94

■フロント

1G:21.73/1.27

フルバンプ:18.95/4.05

フルストローク:15.46/7.54


GPラバー V-ONE R4の場合

使用時のバネ長/たわみ量

■リア

1G:18.52/0.87

フルバンプ:16.01/3.74

フルストローク:12.05/7.7

■フロント

1G:18.88/0.87

フルバンプ:16.51/3.24

フルストローク:12.35/7.4

W5307系スプリング

GP系の手持ちスプリングたち

無限とインフィニティのスプリングの特性ってだいぶ違うんですね、、

R4にはスポンジの場合はフロントにW5307-33 YELLOW(EPの記事の方にバネ特性を記載してます),リアはW5308-154 GREENがかなりいい感じです.

以前のW5308-15325BLUEよりもGREENのほうがリアを感じながら立ち上がれると思いましたが縮み始めが少し硬いのでそういうフィーリングになったんですね~






スプリングレート再整理(EP)

 過去の記事でプッシュプルゲージを使ってスプリングレートを測定していましたが

少し考え方を変えて整理しなおしてみました.

あと買い足したスプリングのデータも追加しています.

上の図はヨコモBD10向けの2.3-3.0スプリングの測定生データです.
非線形バネの教科書のような波形ですね.

バネ定数が大きく変わるポイントは約6mmのところです.

バネって走行中に6mmも縮むんだっけ?という疑問がデータを再整理するモチベーションになりました.

ということで実測です

こんな感じで1G状態を測ったり
シャーシを擦るフルバンプ状態を測ったり

TF7.7の場合

■リア 
スプリング長/圧縮量
1G: 18.88/0.87
フルバンプ:16.62/3.13
フルストローク:13.8/5.95

■フロント
1G: 17.93/1.82
フルバンプ:12.65/3.65
フルストローク:12.65/7.1

ロールセンター周りにロールをすると考えてもスプリングは大体6~7mmの圧縮しかしていない模様

つまり最初の画像の2.3-3.0だとほぼストロークを使い切ったところから非線形領域に入るみたいです.


ただ実走でもリニアとプログレッシブスプリングは違う挙動をするのでもう少し考えます.


東海バネさんのHPにヒントが書かれていました.


ふむなるほど

1G状態で1mm程度しか圧縮できていないのでラジコンカーでのスプリングの使い方は全たわみの30%以下のところで使っていることが分かります.


ということで0~6mmのたわみ量の中でもっと詳細に整理してみました.


こんな感じで0mm→0.5mm圧縮した際のバネ定数,0.5→1mm圧縮した際のバネ定数のような形で整理しなおしてみました.


例えば公称値で2.7N/mmで販売されているスプリングも6mm程度圧縮すれば2.7に近づくものの僅かに圧縮している領域では小さいバネ定数になることが分かりました.

バネ違いで”手前で掛かる”とか”奥で掛かる”とかの回答がほとんどこれじゃないのか、、、!という結論に至りそうです.


上の数字の羅列よりも外出先ではグラフのほうが見やすいのでグラフも掲載します.

京商W5307系スプリング

自分の手持ちのスプリングたち

手持ちスプリングのリニアのみ

手持ちスプリング プログレッシブ

プログレッシブスプリングは特に面白いですね
黒丸のグループとグレー丸のグループに分かれる

プログレッシブでもどこまでストロークした時にバネ定数が変わるかというのがこのグラフで整理しなおすと分かりやすくなりました.
BD9,SMJステルスライン,XRAYのスプリングはほぼ同じトレンド
BD10フロント、AXON系のグループ
全く別の挙動のBD10リアスプリング
という結果に

まあどのスプリングが一番いいというのは無いですけど
浅いロールで走るのか、どういう挙動で走らせたいかというのに役立ちそうなデータになりました.









2021年4月22日木曜日

ARTSの学習

 ARSだったり、RTCだったりメーカーによって名称がバラバラですが

京商車の場合はARTSと言うみたいです.

ストロークさせたときにリアトーを変化させてコーナリングの挙動を変える機構ですね

今まであまり興味なかったんですがスピキンで袖ヶ浦スタジアムを走らせたときに使っている車両も多く使ってみたいと思い始めました.
特にタイトターンで素早く向きが分かっているような動きをしていてスロットルオンの時間を長くできてタイムアップに有効じゃないかと思いました

上の画像のように取扱説明書にあるような組み立て方を実践してみるのも良いですが
いろんな場所にボールスタッドを取り付けられるのでいろいろ実験してみます.

ボールスタッドといえばAMRから便利な商品が最近発売されました!

こんな感じで使います
今までボールエンドを組み立てるのは手が痛くなるのであまり好きじゃありませんでした
このツールを使うと全く苦痛にならず素早く組み立てられますよ!
ボックスレンチとのはめ合いもいい感じで簡単に外れないので電動ツールと併用するとさらに早く組み立てられそうです!
値段もリーズナブルで場所も取らないので工具箱のお供にぜひ!

さて
今後のことを考えると組み換えが大変なのでCADでサスアームを作図してみました!
実際にASSY部品たちがストロークした時にトー変化した時はちょっと感動しましたw

TF7.7の標準位置で動かしたときのトー変化は下のグラフ
車高変化が縦軸、トー変化が横軸です
最大トー変化よりもトー変化の仕方を把握したかったのでこういう図を作ってみましたが,ラジコンのサスストロークだと変化は線形でした、COS波みたいになると思ってたんですけどね、、

トー変化中のトー角の実測方法

車高ゲージを使いながら細かく車高を変えていっても上の線図と同じ結果が得られました.
ただ注意点としてはボールエンドのガタ分は寄せた上では一致したという点です.


トー変化でいうと伸び側ではトーアウトにならず1G状態から車高が変わるときにはトーイン側に変化するのが運転しやすいのかなと思っていました.
そんな仮説の中でどういうトーコントロールロッドの長さが良いのか?と考えた時
ロアアーム長>アッパーアーム長>トーコントロールロッド長
となる組み合わせで上記トー変化が再現できるかなと
実際に組み立てたのはこんな感じ

トーコントロールロッドはめっちゃ短くなりました



標準位置ではスペーサ量を調整したという仮定でフルバンプで1度のトー変化を想定しています.トー変化量は大体このあたりみたいなので
短いトーコントロールロッドは狙い通りバンプ側はほぼ同じトー変化量ですが、リバウンド側はトーアウト側に振れないようになりました.

実際に搭載した写真があるということは実走したということですが
走らせたフィーリングとしてはリアステアがかなり強い印象です.
高速コーナーの踏ん張り感はちゃんとあるし、向きは早く変わりますが,向きの変わり方が気持ち悪く、フォークリフトみたいなリア操舵の車両みたいな動きをしました.
非線形なトー変化をすると気持ち悪い向きの変わり方をするんじゃないかなというのが自分の中の結論です


いろいろ試しているなかでBRCの常連さんの意見で
サスマウントから取るとシャシーロールで捻じれるので影響受けないバルクからトーコントロールロッドを取るほうがいいのでは?とあり、納得の意見だったので採用となりました.

現地でバルクヘッドまで分解して、ホロービスを植えて、ボールスタッドを付けるという結構な手間でしたが走らせたフィーリングとしては上々でした

取り付けはこんな感じ
注意点としてはナックルは左右反対で取り付けて、ナックル側のボールエンドは写真のように上側に取り付けています.バルク側には特にスペーサは入れてないです.
TF7のナックルはアクスル軸に対して上下対象じゃない形状を利用して左右反対とすることでトーコントロールロッドの調整幅を増やしました.

またボールスタッドは可動範囲の広さと取り付け部の薄さも鑑みてこれを使っています

上々なフィーリングと述べましたが具体的には
ターンインは気持ち悪さが無い程度に素早く向きが変わり、スロットルオンでは確実にリアがグリップして安心して立ち上がれます
単独の低速コーナーでは素早く向きが変わりますが、コースレイアウトの都合からターンインからすでにロールしているコーナーは単独のコーナーよりも少し曲がりが弱くなります.
トー変化がすでに終了しているからというのが理由でしょう
この辺りはドライビングに少し慣れが必要そうです.

タイトコーナーが多い今のレイアウトのBRCではノーマル足からこのバルクから取るATRSでベストラップは0.1秒のタイム更新となりました.


バルクから取ることを基本としてトー変化量を算出しなおしました
スペーサはナックルの上に置く想定です
5mmフルバンプ時の最大トー変化をスペーサ量で整理

0.5mm入れる入れないでかなり動きが変わったのでこの辺りは良いところでやめないと沼ですね、、

先週末にようやく初めてATRS使ってまともに走れるようになったので今後もいろいろ試す必要がありそうです