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2023年1月14日土曜日

モーター性能取得の標準化


少し遅くなってしまいましたが、あけましておめでとうございます!

本年もよろしくお願いします


気分一新ということでヘッダーの画像を先日ZENで撮ってもらった写真に変えてみました

今までのは2016年のGPツーリングスポーツマンの時の写真でもう7年前…2016年が7年も前ということに驚いていますがその間にいろいろ成長もできているかなとも思います.


さてタイトルの件

ここから先は自分のメモに近いものもある


年末に出たカズキカップやZEN最終戦の頃から深刻にパワー不足に悩んでいました.

良く走ってるのにタイムが出ない…みたいな.コースサイドで見ていた知人にも言われるレベル

タラレバですがもう少しパワーがあれば成績も違ったかなと思うと悔しいくて,ちゃんと分析して腹落ちしようと思ったのが去年の12月中旬以降の出来事でした.


smartloggerを用いてモーターの温度や回転数の取得といった直接取得できるデータに関しては素早く解析できて素晴らしいツールです.

ただトルクを換算したり,進角を検討するにはデータ処理に悩むことが多くなっていました.

本来こういったトルク-回転数のようなデータは単体でベンチテストで取得するのが一般的で実走ではやらないです.あるとしても実車では車体ごとダイナモに載せるみたいな

とはいえベンチ測定環境を整えるのは、このクラスの大きさのモーターでも数百万ほど掛かりコスト的に個人ができる範囲でないのも実情.なのでロガーを積んで実走で測ってしまおうという


欲しいパラメータとしては回転数,加速度(これを車重とギア比からトルクに変換),電流,電圧

これらすべてはロガーで同時系列で取得できるのであとは試験方法です.


①回転数の範囲を広くとるためには長めかつ勾配のないストレートを走らせたい

②スロットルの入れ方やステアリングの戻し方で結果が変わるのでストレートを真っすぐ走らせる

①&②の前提からストレートで一旦停止しステアリングが真っすぐの状態でフルスロットルにすることでゼロ~最高回転数と加速度のデータが取れそうです


額面通りやってみたデータ


青線の縦線のところでスロットルを入れています

これでいいのでは?と思っていた時期もありましたがよく見るとスロットルは握り始めはジワッと握ってしまっています.これを毎回同じ握り方ができるか?といわれると再現性はないです

証拠にこちらは比較的ステップ状にスロットルを入れられています
回転数は12000rpmほどまでホイールスピンし加速Gも出ていません
電流は1個目のデータは60Aほどだったのが90Aまで吐いています

ちなみに1個目と2個目の図の違いはブーストエンド回転数を25000rpm→20000rpmに変えただけです
ESCの設定だけでこれだけ電流値は変わらないので
スロットルの操作だけでこれだけ差が出ているのでこのデータは信頼できないことがわかります.

こうなってしまうのはしょぼい理由ですが
本能的にガバっとスロットルを引くことを拒否してしまう
ホイールスピンしまくると加速度データ取れないな
という操縦者の心理となっています

これをもっと心理が影響しない方法はないかと考えていたところ
KOPROPOの素晴らしい機能にたどり着きました

ブレークイン機能です
元々自分も使っててデフ慣らしに使っていました.この機能が有効な場合はスロットル操作を受け付けません.結局煽ってブンブン回ったら意味ないですから

これをデータ取得に応用すると
ストレート停止状態からブレークイン開始キーを押してタイヤを転がす,その間スロットルは全開でホールド、ブレークインが終了と同時にスロットルが有効になるのでフルスロットルで加速する

文字で書いても難しいので実際の波形はこんな感じ


スロットルは完全にステップ応答波形

心理的な影響を全く受けずに全く同じ条件でテストができるようになりました

ブレークイン→フルスロットルでホイールスピンしない上限値は21.5Tの場合20%ということも判明.20%という数値を出すために4~5回走行を繰り返しました
もっと高いGが出せる超ハイグリップコースもあるんでしょうが,そういうのは大体屋内コースでストレート短いですからね…

あと20% 1秒間走らせると4000rpmぐらいモーターが回ってしまうのでその領域のデータ取得は出来なくなります
ただ4000rpm以下のコーナーってコースに1個あるかどうかの低速コーナーなのでここは無視します.

真のステップ応答ができたことで電流値も110A近くと結構激しい



さてここまでは実走ですが,速い条件を見つけるのに何度も走るのはあまり賢いやり方ではないと思っています.この辺りは職業病みたいなところだと思いますが

以前もJMAGの解析値から進角の推定をしていましたがもう一歩進んだ解析もマスターしつつあります.

JMAGの磁束情報をsimulinkにインポートさせて物理シミュレーションをする方法がラジコンのESCの解析にかなり近いと思います.

というものJMAGはベクトル制御前提となっているため,120度矩形波駆動をしているカー用ESCとアンマッチが生じています.

なのでsimulink上でインバーターのプラントモデルを作って直接回すようなモデリングをしました.
ほとんどこんな感じのプラントモデルでブースト,ターボに相当するブロック線図を追加しています

これがいいところは
・インバーター(ESC)への入力を理想電源だったのがリチウム系バッテリーを再現できること
・走行抵抗に相当するものを簡単に負荷できること(今回はモータ軸に対して粘性を定義)
・機械進角,ブースト,ターボに相当する進角を再現するプラントモデルを自在に作れること

機械進角42°(G-Forceのアナライザーで測った値),ブースト50°,ターボ35°で設定した実走データ,その条件で解析したsimulinkデータが下の図


まあまああってますね
30000rpm以上高回転域はコースの広さ的に伸びきらなかった感じ,ギア比もう少し回してもいいかも?


機械進角,ブースト,ターボのそれぞれの適正値も解析してみましたが
この記事はいったんメモ記事なのでここまでということで

次回記事は今回のテスト方法と解析方法を元にセッティングしてみる編



しかしいろいろできることが広がって面白い
モチベーション高く取り組めたしちょっとはいろいろ分かるエンジニアになれたかな~

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