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2020年10月17日土曜日

モーター考察【進角特性】

 仕事柄モータに携わることが多く

ラジコンモータにも思うところがあり使い方の忘備録として記録したいと思います.

手元にはsmart loggerがあるのでそこから回転数や加速度(トルク)をロギングしてデータを収集します.


このサイズでいろんなデータが収集できるのはやっぱり便利だなと思います.

smartloggerには温度も2チャンネル記録できるのでモータに直接サーミスタを貼り付けて測温も実施します.



貼り付けているのは鉄心となるステータコア部分とコイルエンドの巻線部分です.

測温する理由としては

※日本電産HPより

電力の入力に対して銅損/鉄損/機械損(図中には書かれていないですが磁石損や漂遊負荷損があります)が発生し基本的には熱となります.(一部は音として発生)
モータは80~95%を動力として取り出すことが出来る反面、5~20%は熱に変換されるのでよくある走行後のモータ温度を管理するということに直結しています.

※ANSYS HPより

2か所の測温ポイントを分けた理由としてはモータの動作点によって発熱する部位が異なるからです.
上の図からわかるように低回転&高トルク領域では銅損が支配的です.銅損の正体は銅線に電流が流れることにより発生するジュール熱ですね.
解決するには電流を下げる必要があり,銅線を太くしたり,巻線を並列接続したりします.

対して高回転&低トルク領域では鉄損(コアロス)が支配的です.これはステータコアの鋼板に磁束が流れると渦電流が発生しその電流によりジュール熱が発生するためです.あとはヒステリシス損失も一緒に発生しています.
これを解決するには電磁鋼板の厚みを薄くする必要があります.薄い鋼板ほどコストアップするためROARのレギュレーションで鋼板の厚みが決まっているのもここが理由ですね.


測温に対しては上手くいっていないためまたテスト後に結果をUPしたいと思います.

ファンの裏側の測温をしていますが温度が平衡してしまっています.

ファンによく当たるところで測温したら差がわかるかなぁ…


さて今回は進角特性についてです.

モータに進角を付ける理由としてはコイルが発生する逆起電力が理由となっています.

ロータが回転するとロータの永久磁石により磁束が変動しステータのコイルに逆起電力が発生します.

またコイルにパルス電流を流すと巻線のインダクタンス分の電圧降下も発生します.

バッテリ電圧=モータの逆起電力+インダクタンスによる電圧降下

となる点がモータの最高回転数となります.


よく大きいロータを付けると高回転まで回らないと言いますがこれはロータの磁束影響をより強く受けるためです.逆に小さいロータだと高回転まで回せるもののトルクが低下します.

太いロータ&ローギア

細いロータ&ハイギア

のどちらが効率が良いかというのも後々の記事で明らかにしたいと思います.


これを何とか高回転まで回すためにラジコンでは進角を進める制御をしています.

ハイブリッドカーや電車では弱め界磁制御を取り入れて高回転まで回す制御をしますが恐らくラジコンではやってないと思われます(2017年に東芝から発売された産業用ドローンのESCには採用されているみたい)


ここからは自分のイメージとなりますが

ロータが最もコイルに近づく場所で逆起電力も最大となるので,その前に電流を流すというものが進角の概念です.


トルクベストとなる進角ラインは上の図のようなイメージとなります.
進角とトルクの関係は上に凸の放物線となりそれは電流振幅の等高線となります.
電流によってベスト進角が変化し遅角過ぎても進角過ぎてもトルクは落ちます.

実測結果はこんな感じになりました.

条件としてはブースト進角を50/55/60と変化.機械進角は38°.ターボは0°
モータは京商TROX 13.5T ギア比は6.4.ESCはHW製 XeRUN XR10PRO G2

オレンジのプロットがMAXでほぼ1周目or2周目の記録
ブースト進角が50°→55°までは加速G(≒モータトルク)が上昇傾向ですが55°→60°はほぼ変化がなくサチレートしています.
たいして5分間トータルの加速度でいうと55°が最も高い加速となっています.
理由としては


モータのコイル温度がブースト60°ではかなり上昇しているため
電流が流れなくなったor磁石が可逆減磁しているが考えられ出力が下がり後半のLAPの回転数がかなり下がっています.いわゆる熱ダレ現象ですね.
ブースト55°と60°の回転数のクロスポイントは進角55°の最高温度付近です

50°ではそもそものモータ出力が出ていないので温度が上がっていない
60°では進角が進みすぎてトルクは思ったほど出ていないが電流は要求されるので昇温している
と考えています.

これだけ見ると”ブーストは55°が良いんだ”
となりそうですがまだまだ弄れるパラーメータがたくさんありますね…

ブーストスタート/エンド回転数,ターボ進角,ロータ径,ギア比…etc
書き疲れてきたので次はブーストのスタート/エンド回転数について!



2020年10月15日木曜日

2020 2in1サーキットのセッティング(R4)

 最近はBRCサーキットで京商から発売されているモータのデータ取りをsmart loggerでまとめています.

予測と実測が異なる点がいくつかあるのでまとめ作業が難航していて時間が掛かっています.


なのでひとまず軽めの記事からw


京商地元チャレンジにしらかば2in1があるので参加しようとしています.

本来は先週の10月11日に開催予定でしたが台風のせいで延期に

延期後の日程は11月1日となりました.


ただ天気は回復傾向だったので11日に2in1サーキットに行っていました.


ただ午前中は濃霧で走行できない状況

いろいろあって夕方からの走行となりました.



持ち込みセッティングとしてはR4SⅡの取説セッティング

これに

FTTフロントワンウェイ(内側30万,外側10万)

フロントバルク1.5mm上げ

フロントロング用ダンパーステー

R4 Evo2用メインシャーシ

を変更したものです.

ボディはSCorMR-Sで

タイヤはKCスリックSタイヤにインナーはボンバーレッドで走行


走らせた印象としてはリアグリップが薄くオーバーステア傾向

インフィールドは回り込んでほしいのでちょうどいいですが,外周のRの大きいコーナーでは巻き込んでくるのを恐れてハンドルを切り足せない状況


ということでリアアッパーアームをいつも通りバルクから取ります.


やっぱりゴムタイヤのリアアッパーはここがいいみたい.内側のバルク側には2.5mmのシムを入れています.

ギャップの多いサーキットには短いアッパーアームでキャンバー変化を大きくして唐突な動きをしないようにしたいですが

2in1みたいな撒き物をして路面グリップを上げているサーキットではターンインで不安定な挙動をしやすく向いてないみたい.

カーボンプレートはアッパーアームを付けてないですが取り付けたままにしています.

アッパーアームに力が掛かってバルクを倒してデフの回転を妨げるのを防ぐためです.

コーナリング中の転がり感が増えますよ.


リアグリップが増えると今度はインフィールドの曲がりが物足りなくなります.

そこでフロントスプリングをイエロー→ピンクへ極端に柔らかくしてみました.


コーナーの後半で良い感じに曲がるようになりこの辺のスプリングかなと思っていたら外周コーナーでハイサイド…

ただ走行は夕方5時半で,うっすら霧が出るくらい湿度も上がってました.

こんな路面でレースしないだろうなと思いつつもう少しセッティングを探らないといけないかなと

次走るのはレース前日になりそうですが

上記セッティングにフロントダンパーを3穴→4穴で対応できるかなと妄想してます.